読書:村井章介『中世倭人伝』

ちょっと用事があって読み返しました。初めて読んだの大学一年の時か…。遠くに来たものだ…(タヌキですが)。

中世倭人伝 (岩波新書)

中世倭人伝 (岩波新書)

名著ですが、10年たって読み返すと、いろいろと文脈が見えてくる気がします。
まず、日本中世専門家が、対外関係をやるのは大変だったんだなあ…、ということ。『入門』が出ている現在では考えられませんが、先達はやはりえらいものだと思います。

海域アジア史研究入門

海域アジア史研究入門

あと、『朝鮮王朝実録』を紹介することも本書の目的とされていること。『朝鮮王朝実録』を使って朝鮮周辺の話をするのは、まだメジャーではなかったのでしょうか。今だとスタンダードな気が・・・するのは身近にそういう研究手法の人がいるからかもしれません。
本書にも書いてありますけど、確かに『朝鮮王朝実録』はいろいろはっきり細かく意見が書いてあって面白いですね。『大南実録』とが人事と皇帝の居場所にかかわる情報が多くて“起居注”かいなとおもうことがあるのとコントラストがはっきりしてるような気がします。
まあ、読む時期にもよるのでしょうか。

しかしまあ、出版から20年たつといろいろ変わるものです。20年か…。20年前に必死で否定したものを、今は否定の反動で再評価することもあったりするわけで、いつ読んでも“やっぱりちゃんとしてるな〜”と思わせてくれる書籍って大事だな、と思うのです。
そういう本を選んで買っていけるといいんですけどね。