読書:祝田秀全『銀の世界史』

銀の世界史 (ちくま新書)

銀の世界史 (ちくま新書)


読みました。
予備校の先生が書かれた、世界史の本です。つまり、いい大学を目指す受験生はこれくらいわかってないと困るよね、というもので、そのつもりで読むと、結構要求高いなあ、という気はします。それにしても、よどみなくうまく書くもんだなあ、としみじみ。

文句はあるんですよ。
1:「世界史」っつっても、西洋史じゃんか、これ、っていうのが。
「銀の世界史」と銘打って、モンゴルの話、ゼロですからね。それじゃ、なんで中国が「銀のブラックホール」だったんかわからんやん。まあ、初めのほうにイギリス中心で、って書いてあるんで仕方ないんですが。

2:イギリスがアヘンを清朝に持ち込むのにアメリカ手形の話をしないのもなー。つ【好評既刊欄の『近代中国史』】

近代中国史 (ちくま新書)

近代中国史 (ちくま新書)

3:イギリスの金融革命の話ないと、なんでイギリスやオランダに国債を引き受けられるだけのカネがあったかわかんないと思うんですけど…。

投資社会の勃興―財政金融革命の波及とイギリス―

投資社会の勃興―財政金融革命の波及とイギリス―

最近は西洋史でも、アジアが分からんといかん、というのが流行りみたいで、以下の本も出ています。

新しく学ぶ西洋の歴史:アジアから考える

新しく学ぶ西洋の歴史:アジアから考える

あとね、参考文献に出版年が入っていない、とかね。わざとかな。
岩波講座の論文が引かれまくってるんですが、1997年から出てた新版なんですが。微妙に古い気がします。なんせもう20年近く前なんだよなー。それにしても岩波講座って影響力有るんですね。「岩波講座所収の論文なら定説あつかいしてもいい」という文科省の人の発言があったとかいうのもなるほどなー、と。
専門書もリストに入ってないんですよね。ぜったい『茶の世界史』と『砂糖の世界史』は読んでるはずなんだけどこれも入ってない。あと、入ってる専門書が黒田明伸『貨幣システムの世界史』で、中国史クラスタ的にツボでした。どこが著者の琴線に触れたんかな。

茶の世界史―緑茶の文化と紅茶の社会 (中公新書 (596))

茶の世界史―緑茶の文化と紅茶の社会 (中公新書 (596))

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

最初の近代経済 -オランダ経済の成功・失敗と持続力 1500~1815-

最初の近代経済 -オランダ経済の成功・失敗と持続力 1500~1815-