読書:佐藤文俊『李自成』

李自成は明朝を滅ぼした反乱軍の大将です。いやあ、彼に関しては「地方勢力」とか全然言えないね。とりあえず税金減らして、金持ちから奪うっつうノープランっぷりがすがすがしいまでに「反乱軍の大将」ですわ。

ただよんでるうちに、これは面白いけど、基本的な話知らんとついてくの無理だろ〜、としみじみ思った本書。なんだかハードル高いよ。
だって、表紙をめくるなり句読点改行皆無の漢字ビ〜〜ッチリですよ(ぜひホンモノをご覧ください)。ちょっと衝撃。しかも原本はちっちゃ〜い、というね。おもわず「〜」を多用してしまいます。

あと、最初の最初から

「通常、日本での中国史の時代区分では、宋から清朝アヘン戦争までを近世(または中世)とする。」(1頁1行目)

で始まって、クラクラしました。飛ばしはりますねえ…。

一番キタのは、李自成が西安で皇帝に即位したときに、始祖を西夏の太祖李継遷にしてたってとこですね。100頁あたりで述べられてますが、李自成集団は、わりとオルドスあたりのモンゴル系、チベット系、回回(100頁には「回賊」となっててビビりましたが。しかしよく考えると明末の「回」ってイマイチよくわからんな。今の回族でいいのかな…)とかが参加していて、漢族中心が自明でない、とするあたりは、結構うなりました。「華夷一家」はやっぱり時代の要請だったんだなあ(しみじみ

あと、なんせシリーズがシリーズなので、注とかルビにばっかり目が行くわけですが。意地悪に読んじゃったよ…。こういうのを「心が汚れてる」っていうんだな。
注はやたら細かくて楽しいです。流賊の綽名に注ついて、「この綽名を使ってるやつが二人」とか。楽しい。
ただ真顔になったのは、「皇太極」に「こうたいきょく」ってルビ振ってあったとこすね(38ページ)。ヌルハチやドルゴンはカタカナで、豪格はホーゲってルビ振ってあるのに…。福臨にフーリンとルビ。これ、なんかイワレがあるんかなあ…。どういう形でルビ振ってんのかなあ…。気になるなあ…。

李公子の謎―明の終末から現在まで (汲古選書)

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明末農民反乱の研究 (1985年)

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