図頼きたでー!

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150404/k10010038771000.html
中国 タクシー運転手30人余が抗議の服毒か

北京市公安局によりますと、倒れた人たちは中国東北部黒竜江省の個人タクシーの運転手で、車両の契約更新など業務に関する要求を訴えようと北京を訪れていたということで、公安局は黒竜江省の当局と連絡を取って調べを進めています。
中国では、当局への不満を訴えたり抗議の意思を示したりするため、陳情者が大勢の人が集まる場所で服毒を図るケースが相次いでいます。

いやあ、これは図頼の精神ですよ、図頼の。
図頼とは、自殺するとその原因を作った相手が刑罰の対象になるという明清時代の法律(「威逼人致死」条)を利用して、陥れたい相手の家の前に親族の亡骸を置いてくる、という、強迫の一種です。
つまり、中国には、自殺に追い込むようなことをしたやつは悪い、という感覚があるわけですね(いまの共和国刑法にそのものズバリの条文があるのかはしりませんけど)。日本にもあるけど、自殺させても、そのことだけで刑事罰に問うことはできんわけじゃないですか。で青年漫画で、そういうのを懲罰するエピソードとかがでてくる。なので、日本では焼身自殺とかも割と象徴的な感じにしかならないわけなんですが、中国だとプロテストの方法としてもっと強い意味が出てくるわけですね。(チベットはまたちょっと違う思想があるんでしょう)

というわけなんで、政府的には、一人たりとも死なれると困る、っつうことになりますから、まあ一人も“死なない”んでしょうね。その意味では、王府井でやったのはなかなかだな。あそこ、繁華街としては微妙な割には、人目は引くし。

それにしても、中国は近世に一回やった、見たことのある世界に戻りつつあるんですかねえ。

明清福建農村社会の研究

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伝統中国と福建社会

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