借金してる額よりも借金できる額

東大の経済史の先生が、以下のような引用をされていました。
これをご本人が賛同しているのかはわかりませんが、しかし、割とよくある話です。

この手の話を見るたびに思い出すのが、借金大国イギリスです。もちろん、今の、ではありません。19世紀初頭の、です。

現在の日本ほどではありませんが、19世紀初頭のイギリスはGDP250%くらい借金を抱えていたわけですが、その後GDP比20%くらいまで借金を減らし、世界帝国を築いております。

カネを借りるのは今の方が楽だと思うので、19世紀初頭UKの借金は結構すごいと思うのですよね。でも、まあ世界の覇権をその借金を抱えたまま握り続けたわけですよ。

で、話が卑近になって申し訳ないんですが、私のまわりにも割と借金が数千万単位であるんだけど、割といい生活してる人がいて、なんどもなんどもどっか~金を借りてきて新しい事業やって、借金完済してからまた、借金造って、みたいなの繰り返してるんですよね。たぶん、どっかの瞬間を切り取ると収入の1000倍の借金を抱えてることになってるんだと思うんです。それでも何とかなるときは何とかなる。(まあ、年賀状くれた人にそういうのがいた、っつう話なんですが)

つまり、問題は借金額じゃなくて、借金があろうがなかろうがどっかからお金を借りてこれるだけの信用というか、雰囲気というか、そういうのがあるかどうか、だと思うんですよ。

財政規律の問題だって、本当は“いま借金がこんだけあるから”という話ではなくて、“この借金が焦げ付くかもしれんぞ”ってことで取り付け騒ぎみたいになったら困る、という話なんですよね。だから、財政再建するぞ、という掛け声を大きくせにゃならんと。借りた金はきっちり返すぞ、という態度を見せとかないといけないと、次の金が借りられないかもしれないよ、ということなんですよね。

などということを思ったのは、中華民国が39年ローン(年利4%)の義和団戦争のときの列強への賠償金をちゃんと返し切った(途中で減額されてるけど)ということをちろっと思い出したからです。そうか、だから中華民国はやたら借款を受けられるんだな。中国市場が魅力的というだけではないんだな、ということを思った次第。

つうことで、いま日本は金を借りても返せると思われているかというと、まだ思われてると思うんですよね。
今のところ、日本は世界的に景気が悪いと円高になる(相対的に信用がある)ことになってるので、その点、あんまり心配はないのですが。(いやもちろん、景気が悪いうえに輸出が伸び悩む条件になってるのは微妙ですがね)

ただ、国債引き受けてるのは日本国民だから、とかノホホンと言ってると、人口減少・高齢化の進展のなかで割と急激に信用を失って、借りれるカネも借りれなくなる事もないわけではないな、ということに気付いた次第。