自分がやってるとこが華

またも池内恵先生のざっくり差してくる言葉を発見。


http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-238.html

そもそも「植民地主義原因論」ばかりが出てくる理由が、日本の大学のシステムの中で中東研究は、法学部や経済学部など現代の問題を扱う学部ではほとんどポストがなく、もっぱら西洋史東洋史など歴史系の学部出身者が取り組んできた=だから単に植民地主義の時代までの「古い時代」を専門にする人しかいないので、70年前とかの話が常に今現在の事象の「原因」として主張される一方で、2ヶ月前とか3年前の話はうろ覚え・・・という実態を見て、個々の教員の能力とかやる気以前に、背後に「制度的要因」があるな、と気づいた。それからはいっそう、「植民地主義原因論」は疑わしく見えるようになった。

日本では、偏差値的な受験システムと一体となった形で、学部段階でどこを出たかでその後の長い人生での専門と所属する専門業界が固定化されがちである。その制度的な制約から、西洋史東洋史アラビア語学といった専門学科が主体となる中東専門業界では、一方で歴史学者が強みとする「植民地主義の時代」にのみ注目して現代までも語ってしまう風潮を是正するきっかけが生まれず、他方で「政府の新聞を毎日読んだらこう書いてあるからこれが真実だ」という類の極端な語学原理主義に結びつく。政府の新聞を読むと「植民地主義が悪い」と書いてあるので、歴史系と語学系で議論は結局似たようなものになります。

いやあ、何でも乾隆帝チベット問題が出てくるのを思い出してしまいました。あと、麻薬にかかわる罪と言えばアヘン戦争、みたいな。歴史的なものもあるんでしょうけど、何でもかんでも昔のものに求めるのはよくないですよね〜。