敵の敵は味方か?

朝、ワールド・ウェイブを見ていたところ、外交部が記者会見で、こんなコメントを出していました。
http://news.163.com/12/0514/20/81G879AF00014JB5.html

記者:報道によると、「世界ウイグル会議」のメンバーが五月十四日に靖国神社を参拝したといいます。中国として何かコメントはありますか?

洪磊外交部報道官:靖国神社は日本軍国主義の対外侵略の歴史の象徴です。「世界ウイグル会議」の反華分裂分子と日本の右翼勢力が結びつき、共謀していることは、彼ら(「世界ウイグル会議」)が祖国の分裂と中日関係の政治的本質を破壊しようとしていることを明らかに示しています。彼らの拙劣なやり方は、ウイグル族の同胞を含む内外の中華児女に唾棄されることでしょう。

で、え、そんなニュースあったっけ、と思って検索したところ、いくつか2chのスレが引っかかってきました。日本では、ラビア・カーディルはじめ、世界ウイグル会議の人が靖国に行った件については特に報道されてないみたいですが、荒川区議がツイートしたあたりから知ってる人もいるようです。日本は尖閣の話ばっかだな。大陸では、結構大きく出てるニュースなんですね。台湾・香港ではそんなに報道されてないな。

この件について2chでは下記のような書き込みが見られました。

163 :名無しさん@12周年:2012/05/14(月) 21:28:54.62 id:GGdoZo+q0
問題に対してきちんと声上げて行くのはいいけど
ウイグル人靖国参拝させるって何考えてんの…
日本側はウイグル人が イ ス ラ ム 教 徒 だってことすら知らんのか
それでもニコニコしながら異教の神を拝まなきゃいけないウイグル人の苦境に心が痛むわ

中共は暴君、支援者は池沼、ってウイグル人八方塞がりすぎんだろ

いやもうごもっとも。かなりションボリするニュースですね。とりあえず、ムスリムを偶像&個人崇拝の宗教施設に連れてったアホウは反省すべきだと思います。(ウイグルムスリムがどれくらい世俗化してるのか不明&どうせ向こうは神道が何だか知らないので、まあ何とも言えんのですが)

(追記:水谷尚子さん(@NAOKO_MIZUTANI_)が、この件に関してツイートをしています。)

誰が「世界ウイグル会議」と右翼をくっつけてんだか知りませんけど、中共憎しで少数民族に接近する奴らには、マジで嫌悪感を抱きます。憎たらしいのは結構だけど、困ってる人を巻き込むなや、と。なるほど、これがアジア主義ですか、大東亜共栄圏ですか、と。戦前の回教研究所とかもこんなんだったんですかね。中国の周辺のことやってると中央政府のやり方に頭が来るのはわかるけど、こういうバカに引っかからないように気を付けないといけないですな。

フリーチベットもそうなんですけど、少数民族地域問題を真剣に考えてる人と、とりあえず「中国」が気に入らないのでカオスに陥ればいいと思ってるバカが混在してる現状は本当にマズい。ウイグル人チベット人も相手を選んじゃいられないからなあ…(それともなんか考えがあるのかしら…)。前に14世ダライ・ラマ猊下が来日したときも、一部日本人のだめっぷりにかなり悲しくなったのを思い出します。
まあ、敵の敵は味方じゃないんだなあ、と痛感した次第。


ところで、一部で大人気だった姜瑜女史のあとをついだ洪磊先生のコメントを見てて、ちょっと面白かったのが、“反華分裂分子”と“中華児女”という表現です。
こんな表現、昔から使ってたっけ?とおもって、ちょこちょこ百度に聞いてみたところ、こんなんでました。
http://baike.baidu.com/view/986023.htm
“反華”って、どっちかっていうと人権に関して活動してる欧米の機関とか東南アジアの反中感情なんかを表す時に使うんですね。やっぱり比較的新しいんだな。
あと“中華児女”ですが、結構はっきりとしたイメージがある言葉なんですねえ。
http://baike.baidu.com/view/121535.htm
殺されないと認定されないんじゃん。ともかく「必将遭到中華児女的唾棄」って道徳的な含意のある言葉なんですなあ。