読書:奈良修一『鄭成功』

鄭成功―南海を支配した一族 (世界史リブレット人)

鄭成功―南海を支配した一族 (世界史リブレット人)

大変楽しく読みました。
同じネタだと、以下の二冊があるんですが、結構読むのが大変なので、今回の本が出たのはありがたいですねえ。

うえの林田さんの本に比べて、欧文史料を基にした記述が多くて、そこも興味深いです。李旦の洗礼名とか初めて知りました(18頁)。鄭経の長男が鄭克ゾウだ、(63頁)とあって、この点気になりました。ホントかなあ。
あと7ページに「一六世紀倭寇」とあって、ぬ?となります。ほかの部分に「後期倭寇」とあるんでそれでいいんでは。年表の一六四四年のところに、「日本乞師」も、ぬ?となります。

末社会経済は「資本主義の萌芽」とか、鄭成功の忠義とかが強調されるのもそうかなあ、というきはします。鄭氏一族は清朝と外部にリスク分散したんじゃないのかな。あと、忠義というか筋通すのも、結構な政治的賭けだったんだろうな、というのを感じました。