読書:原田実『江戸しぐさの終焉』

読みました

江戸しぐさの終焉 (星海社新書)

江戸しぐさの終焉 (星海社新書)

↓の続きです

いわゆる「江戸しぐさ」の虚妄性と成り立ち、現在の扱われ方が書かれています。内容に関しては、買って読んだ方がいいです。840円なんやから、買ってください。なんか、割と多くの段落の最後に言わずもがなの批判がついてるような気がしますが、それは御愛嬌でしょうか。

さて「江戸しぐさ」は妄想の産物であることはもうみんなに理解されつつあるわけですが、著者は、それでも一回は流行ってしまったことについて、警鐘をならしつつ、専門家はなにやってんのか、と少しお怒りのご様子です。そのうえで、立教大学で行われた学術シンポで言及されたこともポジティブに書いています。大学の先生に対する期待をヒシヒシと感じますな。

ただねえ、ヘンな話(最近話題の「水素水」とか)もそうですが、そんなん出てきていちいち批判するほど、大学の先生も暇じゃないと思うんですよね。というか、批判しようがないというか、土俵が違うというか、専門家が突然素人の中に入って行って「こんなん信じるてお前あほか」というのって、どうなの?という気はするんですよね。「どうでしょうか?」と聞かれたならともかく(その意味では、33-34ページの帝国書院の副読本に「江戸しぐさ」載ったということについての監修者への批判は重い気がしますが)。

大学の研究者って、本を読まない層まで啓蒙するのが仕事なんですかね。大学の先生のツイッター、よく見かけて個人的には楽しく拝見してますが、その内容は、一発で世間様に響くようなものではないような気がするんですよね。ある程度慣れてないと分からん、というか。

むしろ、こういう現実の変な話にツッコミいれて撃破していくのは、大学の先生ではなくて、今回の書籍の著者のような、在野の一般向けに主張を行えるネット上でも商業出版でも、瞬発力のある人がやるべきだと思うんですよね。で、そういう人を育成するのが大学の教育なんじゃないのかな、大学の先生は一般向けというより、こういう一般向けに発信できる人に刺さるような行動ができればいいんじゃないかな。と思ったりしました。分業大事ですわ。