21世紀の『二十四孝』

このあいだ、「家族孝行」という謎の言葉を聞き、「なるほど、偉くお若く見えますが、奥様は1世代上ですか」「ペタジーニなら奥さん孝行しないとだよなあ」とどうでもいいことを思いました。

さて、共産党は、たびたびおせっかい生活綱領を通知するので有名ですが、今度は「二十四孝」できました。
金鰤に翻訳があります。

日本の親子関係の話すると華人が「冷たい」つってドン引きするのはいつものことですが、まあ、こういうの見てても、現代日本人からみるとちょっとやりすぎ感があります。とはいえ、違うのは言い方であって、やってることはそんなにかわらんのではないか、とも思います。

それにしても、政府が道徳的な規範を示す必要がある、という観念が息づいていることがよくわかります。『六諭』的な。で、日本人的には「おせっかいなお題目だなww」「お前が言うなwww」みたいな反応になるわけですが。

気になるのは、現状に対して、民間のほうがどういう風に考えるかですよ。やっぱりたくさんの人が、「礼=社会秩序が乱れとる」「孝行すべき」と思ってますよね、たぶん。

清末なんかは、むしろ民間(といってももちろん知識人ですが)から、「風俗」を改善していこうとしていたわけだし、今だって、「親孝行はすべきだ」とか「銭優先よくない」みたいな感覚が共有されてる(ただ、自分が実行するかは別問題)から、上のほうからも個人の生活に対する規範が下りてくるわけで、民間人だって、なにか、社会秩序に働きかけていこうみたいなのをやってないわけじゃないと思うんですよね。
そんなわけで、この手の上からの呼びかけを単なる“おせっかいww”で片付けちゃうのもなあ、と思うのでありました。まあ、文言一つ一つはもちろん余計なおせっかいというか、“できりゃ苦労せんわ”なんですけどね。全体としてどうかという話。

北京のあたりだと、砂漠化が深刻で、よく植樹活動やってる(そして植えてる木があまり根付かないらしい)けど、ああいう感じの風俗改良運動みたいなのっていまはやってないのかね?「反日」で暴れるよりも、今後の中国の変革は、誰もが反論しにくい社会秩序改良運動みたいなのが広まったところから起こるんじゃないのかなあ、なんて思ったりしたのでした。