唐亮『現代中国の政治』(岩波新書)

現代中国の政治――「開発独裁」とそのゆくえ (岩波新書)

現代中国の政治――「開発独裁」とそのゆくえ (岩波新書)

中華人民共和国政府の意思決定の在り方が変化していることがよくわかります。
57頁あたりに書かれている、以前は地方・中央ともに立法府が有名無実だったのに、近年は、全人代、常務委員会が発言権、自主性を高めているという指摘とか。158頁からの緩やかな自由化の話とか。

近年の動向に関してはもうちょっと情報が出そろわないと、表面的にならざるを得ないよねえ。重慶の話だって烏炊の件だって、まだよくわからんですよ。その辺はあと10年後を待つとしましょう。

ちょっと面白かったのは、133頁の「中国式民主主義」の話です。
他にもあった気がしますが「中国式ナントカ」とか「北京ナントカ」は現状維持の口実なんでしょうな。国の名前と文化や行動様式、制度を単純に結びつけるのは、分析の放棄かあるいはなにか政治的な理由があるだろうなあと思います(ウソも方便ですから、別にダメだとは思わないのですけど)。こういうのって、「特色」とか「日本式ナントカ」といっしょだし、「欧米型ナントカ」とか「西洋型ナントカ」も同様かもしれないですね。

で、通読したんですけど、いろいろ事例がある割には、中央と地方の関係がやはりわからない。制度的に中央と地方はこんな感じというのはわかるんだけども、具体性がない。陝西と山東は一緒なの?とかね。地方のえらいひとにも色々あるはずで、具体的な決定において地方と中央はどうかかわるか。たとえば隣に重慶がある四川と広東とかと中央の関係って具体的にどう違うんだろうなあ。勝手に思っただけですが。