平野聡「チベットよりも深刻なウイグルの苦難」を読みました(修正・追記)。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1908

最初の感想は、「何言ってんすか」です(通読した後の感想は後で出します)。「中国政府が何いおうがほっとけ、ウイグルの人たちは大変なんだ」という根本的なとこは同意するんですよ。でも、もっと書き方があるというか。
違和感その1は、「中国との関係悪化はよろしくないのでウイグルについては問題がないと思う人」がそんなにいるのか、ということです。いや、80年代じゃないんだから、そんなんいないですよ。いてもそんなんアホなんだから、ほっといても特に問題ないと思います。これは、この間の子安先生の話でも思ったけど、いまさらその文脈かよ、と思います。もっとさきにいきましょうよ。
違和感その2は、歴史的文脈のあたりが結構適当というか、清代の話よりも、東トルキスタン共和国がポシャったあとの話を細かくした方が、説明としてすっきりするし、余計な文句もなくていいんじゃないかな、と思いました。“ジュンガルが〜”というのは戻りすぎな気がします。
違和感その3は、「チベットよりも深刻」って、目を疑う表題でした。無理して一緒にしてますが、今現在の問題としては、別の話じゃねえか。いっしょくたに「中国の少数民族問題」みたいにするからわけがわかんなくなる気がしますけど。つか、そもそも比較してどっちが大変とかするもんじゃないでしょう…。これは、編集者がつけたものだと信じたい。
平野先生の御著書とか読んだときにも思ったんですけど、全体的な枠組みはともかくとして、細かい表現の脇がちょっと甘いというか、解釈が煮詰まってないというか、筆が滑ってるところが多い気がするんですよね。で、無用の批判を浴びてる気がします。これは、前に烏坎の件を書かれてれてた時にも感じました。
でも、東大法学部の先生だからいろいろ大変なんだろうなぁ、とも思います。立場的なものがありそうなので、ねえ。ところで、平野先生いま、何を専門に研究されてるのかな。現代中国の少数民族問題?論文とかは書かれてないみたいだけど…。新ネタはないの?

と、ここまで書いて、思い出しましたが、今回の文章、もしかしてこれ、世界ウイグル会議のひとを靖国に連れてった人に対する壮大な嫌味ですか?そうなら、合点がいきます。いや、結構マジで。(相手の頭が足りないので嫌味だってわからんと思うけどなあ…)


6月4日
世界ウイグル協会関連で、有本香さんの議論も読みました。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1874
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1944

正直なんというか、カーディル一人を称揚しても、あんまり意味がないように感じます。まあ、そうしないと訴求力がないのもわかりますけどね。ビルマアウンサンスーチーでも思うけども、個人に還元するのはどうもなぁ…。