岩井茂樹『中国近世財政史の研究』と・・・(題名自体に問題あり)
本記事には、ツイッターによって、梶谷懐@kaikaji・與那覇潤@jyonaha・池田信夫@ikedano各先生から言及と批判を頂きました。文章自体に、失礼かつ不用意な箇所が沢山あります。特に、與那覇・池田両氏に対して大変失礼な表現がありました。
せっかくご本人からご意見を頂いたのに、削除してしまうのも無責任だと思うので、不適切であった部分に関して、訂正線を入れ、わかるようにいたします。また訂正線を入れなかった部分に関しては、別の記事において言及・弁解いたします。
まずはお詫び申し上げます。
以下:元記事。
近世中国は「小さな政府」で、ウォラーステイン的な「重税帝国が資本主義化を阻害」論は反証されたが、非正規財源(ピンはね)が重かった、が岩井茂樹『中国近世財政史の研究』の説 RT @ikedanob 池田信夫blog Voiceからexitへ bit.ly/HsHdS9
— 與那覇潤(Yonaha Jun)さん (@jyonaha) 4月 10, 2012
愛知県立大の與那覇さんの上記ツイートにちょっとびっくりしました。岩井先生そんな話してないよ〜。ご自分でそう思っているならともかく、他人の、しかも偉い先生の“定説になっている”意見のように語るのは、『中国化』の本のときもおもったけど、大学でモノ教える立場的にマズくないですか?学生さんが先行研究誤読してたらツッコむよね。(この表現は無意味でした。人のことをいえません。本当に申し訳ありませんでした。)(まったく関係ないけど、昔、“定説だ”っつって人を死なせた新興宗教の親玉がいたよね。どうなったんだろうな、あれ)(この表現はただ単に思い出しただけだったのですが、結局自分に対する揶揄になってしまいました。情けない話です。)
岩井先生の経済史に関する議論は『正規財源はかなり中央に持ってかれちゃうし、そのうえ硬直してる(しかも少ない)から、地方政府は何にもできない。だから、地方政府はいろいろな形で非正規で税金を取っていて、それで財政上の弾力性を確保していた。この構造は、現代にも連続している』という話ですよ。梶谷先生はちゃんと書いて、現状分析に生かしてるんだけどな。岩井先生の話は、財政上の問題であって、経済成長への関与云々の話じゃない(少なくともそんな話を東洋史畑の人はしないとおもうし、うまく言及できないんじゃないだろうか。そういう話は近代以降の経済史の人以外やらんでしょ。そもそも前近代の経済史には“成長”っつう概念がないんじゃないの。観察しようがないんだし。)。
あと、「ピンハネが重い」ってのなら山本英史先生の本がありますよ。(山本先生の本は、地方役人の「不正」とそれへの対処について扱ったもので、いわゆる「陋規」のみが話題になるわけではないので、直接関係ありませんでした。)
與那覇さんのツイートの呼び水になった池田信夫氏の「中国では税は灌漑などのインフラ整備に使われたので経済が発展」ってのもキョトンとしてしまいます。近世中国は、平和を実現したけれど、インフラなんて大運河とか特別なものを除いて、何にもしないから、郷紳とか宗教結社とかが“慈善事業”としてインフラをやってるんじゃないすか。民国期だっていっしょだし、臺灣の戦後直後も似たようなもんなわけで。(この点は書き直します。)
なんつうか“ぐれぇと・でばーじぇんす”とか“りおりえんと”とかの、“最近、西洋は東洋人差別しててダメ、東洋も昔はすごかったんだからリスペクトしなきゃ”みたいな、意見に引っかかってるのはアレだ、“白人様がありがたくもかくかくおっしゃっておられる、はは〜”みたいな感じで、ちょっとゲンナリしますな。中国の話なのに、Bin WongとかLin Man-houngとかは引かないもんね(昔読んだBin Wongのイメージならこんなこというはずが無いと思い名前を出してしまいましたが、この点はうかつでした。むしろいまはこういう本作るのが専門だったりするという…。文句を言いたいのは、アメリカの学者に対してであって、元の本を確かめることなく、内容を紹介されただけの池田さんに異議を唱えるような表現は不適切でした。申し訳ありません)というか、あの辺のアメ公(あってはならない表現でした。個人的にアメリカ人は好きませんが、こういう表現はよくない)がぶち上げる大風呂敷議論(UKの学者はそういう大風呂敷はあんまり広げないで、ちまちまやってる気がする。印象論だけど)(この際UKは関係ありませんね)
はだいたい眉唾だからな〜・・・。
ポメランツなんて、最初の本は結構ちゃんとしてるんだけど、大風呂敷を広げた大分岐はなかなか適当だし、ケチつけるマディソンがまた適当(マディソンはオランダの人だっけ)。そもそも異なる地域の生活水準を比較するなんて無理/無意味でしょ。どの国に美人が多いか、っつうのと同じだべ。
あれだな、最近の東洋史の人も宮崎市定みたいにベストセラーを書いてやんごとなきおかた(皇太子殿下とか)に言及していただいて、賢しい民草を“啓蒙”しないとダメですな(不適切な表現です)。現代日本では、もはや岩波新書すらカタイ本扱いなので、出版社は結構悩ましいんだけども…。講談社の『興亡の世界史』とか、『中国の歴史』とかも売れそうには見えなかったもんな(内容の問題ではなくて、本屋で並んでいて表紙とかが、という意味です)あと、中国人の学者ががんばんないと。臺灣・香港・澳門・シンガポールとかとちゃんと連携して、中国語でいいんで、しっかり発言してほしいすな。
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