書評への感想

池上彰が出した本に永江朗がちょっとだけ文句をつけています。
http://book.asahi.com/reviews/column/2011092600002.html

まあまあ、それはそれでいいんですけど。
ソ連邦の解体と東欧共産圏の崩壊によってもたらされたのは、資本主義の勝利などではなく、新たな宗教戦争だった。イデオロギー対立による戦争も怖いが、宗教戦争はそれ以上に血なまぐさく、陰惨である。しかし、ほとんどの宗教は人びとの平安と幸福を願うものなのに、なぜそれが深刻な対立をもたらすのか。そこがいまひとつわからない。”
とか、
“どの宗教も、それなりに立派なことをいっている。信者が、オラが神様が最高だ、と思うのは当然だろう。だが、その立派であるはずの宗教が、なぜ他の宗教・宗派については不寛容になり、殺人や戦争まで厭わないのかは、本書を読んでもよくわからない。宗教がもたらす狂気としか思えない。
 自分が天国に行くためなら他人を殺してもいいなんていう人間は、天国どころか地獄に堕ちて永久に苦しみ続けるだろう、というのが私の宗教観である。”
とか、まあごもっとも、といいたいところですが、いわゆる2000年以降の“テロ”問題は別に宗教的な問題ではないと思うんだけどなあ。もちろんイスラムっていう言葉がいろいろ使われるのは事実だけど、イスラム教徒がキリスト教徒にケンカ売ってるのではなくて、USAがケンカを勝手に買って回ってるだけど、それはむしろアメリカの中東利権をめぐる態度に現地の人が怒ってるんじゃないでしょうか。
あと、別にテロやってる人も、天国に行くために人を殺してるんじゃなくて、相手を単純に殺してもいいような相手だと思ってるんでしょうな。これ、爆撃やってるほうもおんなじですが。

よく宗教本の前口上で“宗教→殺し合い”や“宗教→うさんくさい”という一般の認識があって、みたいな話が来るけど、ま、素人向けの前口上ですよね。
別に宗教が人を狂わせてるんじゃないとおもうんだけどな…。というか、そもそも本当に信じている人はどれくらいいたんだろうかねえ。

つまり、宗教というのは何かほかの利害関係の隠れ蓑だったんじゃないの、というのがタヌキ的な認識なのです。もちろん例外はたくさんあるとは思うけど。

でも、イギリス史とかフランス史の本読んでると、宗教(宗派?)対立がすっごく意味のあるものとしてでてくるんだよな。うーん、これは書く方の問題か、それとも現実がそうだったからなのか…。