また歴史の話か


 これはアヘン戦争以来の薬物問題に対する中国での薬物撲滅の戦いの歴史が反映された法思想であり、国ごとの法律のありようとして考えると非常に興味深いものがある。

なるほど、房祖名と柯震東がとっつかまった件については、よくわかりました。習近平が意図があってことさらに強調してるんだろう、というもわかる気がします。なんせ、ジャッキー・チェン中共のワンワン(ガウガウ?)状態ですから、それも許さないみたいな態度はわざとらしー、とすら思えます。(ジャッキー、実は余計なことばっかり言うんで嫌われてたりしないだろうなw)

ただ、中国で薬物の取引が厳罰の対象となる理由なんですけど、納得しかねます。またアヘン戦争か、と。なんでそこまで溯るのか、と。

19世紀前半のアヘン戦争時期に、アヘンが現在でいうところの“麻薬”として扱われていなかったことは、周知のことやと思います。

アヘンとイギリス帝国―国際規制の高まり1906~43年

アヘンとイギリス帝国―国際規制の高まり1906~43年

↑にあるとおり、国際的に“麻薬”が規制されてゆくのは、本格的には20世紀に入ってからだったはずです。欧米でも。中国でも。

The Social Life of Opium in China

The Social Life of Opium in China

中国においてアヘン吸引や取引を、“麻薬の利用”という意味で(アヘン戦争直前のような貿易赤字の元凶としてではではなく)、取り締まってゆくのは、それこそ国民政府期間に入ってからではないでしょうか。蒋介石とかなんじゃないの、そういうのやるの。

中国における麻薬取締りの基盤となる「トラウマ」は、むしろ満洲国や日拠台湾からの輸入だったんだと思うんですけどね。

日中アヘン戦争 (岩波新書)

日中アヘン戦争 (岩波新書)

証言 日中アヘン戦争 (岩波ブックレット)

証言 日中アヘン戦争 (岩波ブックレット)

あと、

歴史的に深刻な薬物汚染の経験のない日本と、現代以前に薬物が一種の社会習慣として定着していた中華圏では対応に差があることは理解できる。

という箇所なんですが、日本の戦後直後のヒロポン流行りっぷりには慄然としませんか。あれは、深刻な薬物汚染じゃないのかなあ。
加えて、東南アジア諸国(もちろん消費者のほとんどは華人)で麻薬取締が厳しいのも、戦中の日本による薬物輸出でえらい目にあったからなんではないですかね。(ま、もちろん日本の前に売ってたのはイギリスで、そのイギリスが日本を置いて先に麻薬撲滅側に乗り移っちゃったんですが)

おお、つまり、この件も日本が悪いってことだな(違。