ぶっこわしてやる!訴えてやる!
結構面白いツイートだったので、こっそりメモ。
清代に「A村の郷紳が金と権力にモノ言わせて裏山に道路作っただ。山の龍脈が破壊されてオラの村の風水が乱れただ。許せん殴り込みだべ」と隣村に抗争仕掛ける話は結構多く、実は今でもある。昨今の中国の環境デモ&暴動と「風水が乱れて殴り込みだべ」に質的差異があるのかは要検討材料ではないかしら
— 安田峰俊(迷路人)さん (@dongyingwenren) 8月 3, 2012
まあ、環境ナントカも龍脈ナントカも昨今の東京の原発ナントカも、結局のところ、根拠としてはどうでもいいというか、参加してる方もはっきりとした理由があるわけではなくて、気持ち悪いっつう感情なので(別にそれが悪いわけではない)、その動機自体は、比較的どうでもいいように思いました。ヒトをブン殴るのに、むかつく以外に理由があるだろうか!
ただ、それらの暴動を正当化する言説が、どれくらいの人を動員できたのかってのはかんがえてみると結構、面白いですよね。
うちの村の龍脈が、っていうのは、華南の同姓村だとめっちゃありそうで、分類械鬥っぽいというか、一族を動員するのに利用できるんだけど、一方で地域全体の利害みたいなことを考えると、これはあんまりいわんやろうな、とも思います。地域利害と一族の利害が被る広東とか福建の山奥なら、十分あるだろうけど、江南とかだと少なそう。
そういう意味では、たとえば清代江蘇南通の田舎で暴動を起こすなら、もっと違う理由(知県に取り入った某某がけしからんとか)をつけそうだなあ。
もし、江南で龍脈が〜といいだすと単なる訴訟上のネタで、逆に龍脈を理由にが暴れたというかたちにする方が多そう。こちらがわの暴動の理由づけにはならん気がするなあ。
訴訟のネタとしての龍脈に関するデータは集まりそうだけど、暴動になると逮捕者リストくらいを作るのが関の山だから、ちゃんと比較するのは大変そうですね。しかも、最近は民国以前の農村の話は流行らんからな…。
一方、環境の話だと、同姓村でもそうでなくても、地域全体の利害にかかわる問題になりそうですな。なんで動員範囲が広がりそうな予感。それでも、ちゃんとデータとってくるのは大変そうだな…。
どっちにしろ、正当化する理由と実際の矛盾は違うよねってのは、よくある話で、特に暴動になっちゃう場合、当事者がそこん所をよくわかってないこともままありますよね…。
訴訟に持ち込む場合は、最初から戦略が明確だろうから、そっちから見ても面白いかも。現在の環境問題も、普通は裁判を先にやろうとするだろうし。龍脈のほうも、結局は裁判沙汰にする場合が多いように思いますけどねえ(それしか記録が残ってないのか)。
というわけなんで、だれか、地方志でも総ざらいして、清朝民国環境問題関係暴動/訴訟理由リストとかつくりませんか(わー、報われなさそう…)。で、具体的に何人くらい動員して、どのくらいの範囲に声をかけたか、リストアップすると。明末はもうありそうだけど。
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